採用時の工夫次第で1人あたり110万円受け取れる?キャリアアップ助成金・正社員化コースとは?

ここ数年多くの事業者が活用された助成金の中に、キャリアアップ助成金があります。
このキャリアアップ助成金は、いくつかコースがありますが、なかでも多く利用されたのが、「正社員化コース」かと思います。

 

キャリアアップ助成金正社員化コースとは!?

この正規雇用等転換コースは、簡単に言えば「有期雇用契約の社員を半年以上雇用し、1ヶ月前に計画を提出した上で、正規登用または無期雇用で5%以上の昇給し、正規登用後半年以上雇用する」などといった取り組みをするともらえるコースです。

では、どのような取り組みを実施するのでしょうか?細かく見ていきましょう。

キャリアアップ助成金 正社員化コースの取組内容

このコースでは、以下のような取り組みを実施します。

1 有期契約従業員を正社員へ登用する

2 有期契約従業員を5%以上昇給し、無期雇用へ転換する

3 無期契約従業員を正社員へ登用する

4 有期契約従業員を多様な正社員へ登用する

5 無期契約従業員を多用な正社員へ登用する

6 多様な正社員から通常の正社員へ登用する

入社してすぐ正社員登用はNG!

この助成金は、上記の通り、有期雇用契約の従業員を正社員登用や無期雇用転換をする取り組みに対してもらえる助成金です。しかし、この有期雇用契約の従業員を採用して、すぐに正社員登用してももらうことができません。
少なくとも、入社から6か月以上経過してから正社員登用したり、無期雇用転換をします。

この助成金は、有期雇用の非正規従業員を減らすことを主旨としているので、事業主の努力として正社員登用や無期転換をしたことでご褒美の助成金を支給するというものです。

有期雇用契約で採用してすぐに正社員登用するのであれば、当初から正社員登用する予定では?と思われてしまいます。

キャリアアップ助成金 正社員化コースの助成金額

このコースの金額は、以下の通りです。

 

平成27年度は、正社員登用の場合、1人あたり50万円、無期転換の場合30万円でしたが、金額が増えました。

また、東京都は、正社員登用の場合+50万円・無期転換の場合+30万円と独自の上乗せがあります。

年間15人まで対象とすることができます!

なんといってもこの助成金のすごいところは、雇用保険適用事業所あたり年間15人まで対象とすることができる点です。

東京都の場合でいえば、正社員登用で1人あたり110万円ですから、110万円×15名=1,650万円の助成金を受け取ることができるんです。

一気に伸びるITベンチャーなどは、沢山採用もしますが、スキルのミスマッチなどもあったりします。そこで、このキャリアアップ助成金・正社員化コースを活用して、入社から6か月は契約社員や準正社員として様子を見るなどといった工夫をしている事業主が沢山います。

最初から正社員でなく、有期契約(=パート・アルバイト・契約社員等)からのスタートなので、求人内容など採用活動の面でネックとなってしまうこともありますが、有期雇用契約期間を少し長い試用期間的なイメージで活用されている事業主が多くありますね。

特に、建設業、飲食業、IT関連、医療福祉介護事業、など他業界と比較して少し人の出入りが多い業界では、有期雇用で様子を見てから正規登用をすることで、万一の場合労働問題の予防にもなるかもしれません。

では、キャリアアップ助成金・正社員化コースでは、どのような要件があるのでしょうか?

キャリアアップ助成金 正社員化コースの主な要件

1 適法な就業規則があること
 (正社員とパートアルバイトの就業規則その他)
2 しかるべき保険関係が適用されていること、またはこれから加入すること
 (週20時間~雇用保険、週30時間~社会保険)
3 労働条件通知書(雇用契約書)等があること
4 正規登用等の後、労働条件が変わっていること
5 勤怠データと給与データが労働法令、就業規則等に照らして正しいこと
(残業代の未払いはないか?等)
6 雇用保険の資格取得届において、有期契約になっていること
7 (無期雇用転換の場合)対象者が勤続3年未満であること
8 保険料の滞納や一定期間に解雇等がないこと
9 労働関係法令に違反していないこと

 

就業規則や労働条件通知書・・・

就業規則は、従業員さんが常時10名以上(アルバイト等含む)いなければ、作成・届出義務はありません。

ただし、キャリアアップ助成金を受給する場合は、原則として必要になります。

就業規則は、労務リスクの予防にもなります。

就業規則がないと原則懲戒処分ができない、ないことで定額残業代が認められず高額な残業代を支払うこととなったなど・・・
また、他の助成金についても、就業規則に制度規程→実施→助成、というものが多くありますので、まだ作成していない事業主は、この機会に作成しましょう。

労働条件通知書や雇用契約書などもなければあわせて作成しましょう。

雇用保険や社会保険・・・

助成金は雇用保険料の一部がもとになっていますので、雇用保険に加入していることが必須となります。

また法令に合致していることが必要で、法人で役員報酬が発生している、正社員または正社員と比べて概ね4分の3以上の時間働いている従業員がいる場合は、社会保険にも加入すなければなりません。(個人の場合で従業員5名未満であれば、社会保険の加入義務はありません)

今加入していなくても、もちろんこれから加入できますし、遡って加入することも可能ですのでご安心下さい。

勤怠と給与・・・

勤怠はタイムカードでなくてもエクセルのシートや手書きのものでも構いません。始業終業や休憩時間等がわかれば、形式は問われませんが、受給申請時に賃金台帳や給与明細とあわせて1年分を提出することになります。

そこで、就業規則や労働条件通知書等に照らし合わせてきちんと給与が支払われているか?未払いの残業代がないか?などが細かく確認されます。

基本的には、正社員登用や無期雇用転換等前後1年間分をチェックされますので、整えておきましょう。

まとめ

キャリアアップ助成金・正社員化コースは、審査が終わり受給までに1年6か月程度の期間がかかりますが、1人あたりの助成金であるところが非常に大きいです。

仮に、月給20万円・賞与2か月分の新卒を採用した場合、保険料や福利厚生、人材会社のフィーなどを加味しないと、少なくとも年間で280万円の人件費がかかります。

この人件費に対して、労働条件を良くする取り組みをすることで、1人あたり最大60万円・東京都では110万円の助成金を受け取ることができるのです。

国としても、アルバイトやパート従業員等の有期契約の非正規従業員の正社員登用は、力を入れている施策の1つです。人手不足に悩む事業主にとっても、パートアルバイト等の人材の活用も重要な課題ですね。

国も力を入れている非常に良い助成金なので、まだ取り組まれていない事業主は是非チャレンジみましょう。